ティファニーは創業当初から、ジュエリーを効果的に見せるために「ショーウィンドウ」を重要視してきた。今回の展覧会において、日本美術、特に歌川広重の木版画は重要な着想源となった。そこで日本の伝統に敬意を表し新たに制作された「ドルフィンブローチ」には忍耐と経験という物語が考案された。アニメーションとデジタルプロジェクションが、太陽の周期と月の満ち欠けによる時の流れを表し、日本の伝統とティファニーの源となる詩と光、自然の調和を感じることができた。次の部屋ではティファニーのメディアとの繋がりを感じることができる。映画館のような椅子が置かれ、座って展示を鑑賞した。当時一世を風靡した映画「Breakfast at Tiffany's」でオードリー・ヘップバーンが身に着けたドレスの展示をはじめ、様々な映画のワンシーンに使用されたティファニーのジュエリーを目にすることができる。すべての女性の憧れともいえるダイヤモンドリング。「All About Love(愛がすべて)」とは人々、自身、空間、美、発想、地球、伝統、未来を愛すること。ティファニーは人生における様々な愛のかたちを讃えている。最後の展示室に入ると、暗闇の中心に一つのジュエリーがある。「ザ・ティファニー・ダイヤモンド」128.54カラットのイエローダイヤモンドである。このダイヤモンドを身に着けたのは、ホワイト夫人、オードリー・ヘップバーン、ビヨンセ、レディーガガ、と世界でたった4人の女性だけだ。ダイヤモンドを照らす一筋の明かりと壁一面に広がるプロジェクションマッピング、そして音楽が組み合わさり、ダイヤモンドから目が離せなくなる。まさに、このダイヤモンドのための空間。ティファニーの世界観に圧倒された。
「Still Life (1956) 」
「Baz Luhrman's The Great Gatsby (2013) 」