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琉球の芸術美

2024年10月10日

読了時間:4分

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The Art of Ryukyu

~Dance and Costume~

BY SEIKO


1.    Ryukyu Dance(琉球舞踊)

 この記事では、「琉球舞踊の衣装」について琉球の歴史と、私の琉球舞踊での経験から執筆していく。

「琉球王国あけもどろ圖」

制作:JCC美術部(2008年) 監修者:井上秀雄 文学博士(沖縄県立芸術大学元教授)

 

 「琉球舞踊」は、現在の沖縄が琉球王国時代に育まれた伝統芸能であり、国の重要無形文化財に指定されている。琉球王国は1429年に誕生し1879年まで450年間続いた。琉球王国は東南アジアと中国との中継貿易で発展していった。当時、貿易相手国である中国皇帝の使者・冊封使(さっぽうし)が琉球に派遣されるようになると、国賓としてもてなすために宴で披露された宮廷芸能を「御冠船踊(うかんしんおどり)」という。これが「琉球舞踊」のはじまりである。また、このような芸能を楽しめるのは王家など特権階級の人々のものであり、特別な芸能だった。琉球の人々は海の向こうのニライ・カナイという理想郷に火と稲の起源を求める伝承があり、毎年ここから神々が人間の世界を訪れ五穀豊穣がもたらされると信じていた。そのため、海の向こうの日本・中国・東南アジアとの交流が盛んに行われ、様々な文化を吸収し独自の琉球文化を作り上げていった。その一つが「琉球舞踊」である。冊封使に披露した芸能は「古典舞踊」に分類され、老人踊・若衆踊・二才踊・女踊・組踊がある。王朝時代に育成され、優雅で荘厳な雰囲気が特徴だ。琉球王国は1872年に琉球藩となり、1879年の琉球処分による王国の滅亡で沖縄県になる。その後も戦禍の被害など大きな歴史の変革に伴い芸能の様子も変容していった。沖縄県設置後、宮廷での仕事がなくなった舞踊家達が庶民の暮らしを表現して舞踊にした明るい曲調の「雑踊り」を作るようになった。さらに、日々生まれ変わり続ける現代的な動きや曲を使用し踊る「創作舞踊」がある。一言「琉球舞踊」と言っても様々な様式の舞踊があるため、飽きることが無い。


2.    Bingata(紅型)

 沖縄を代表する染物「紅型」は、起源は14~15世紀頃にあり、当時の交易品にあった布製品の技法から誕生したとされ、重要な交易品でもあった。「紅型」は春・夏・秋・冬の四季が一つの模様として描かれる。この表現方法は沖縄が温暖な気候で四季の変化が緩やかであることが理由だ。南国らしい様々な柄と華やかな色彩をもち、空や海、草花など沖縄の自然を表現している。中国にルーツのある文様や江戸小紋などの影響を受け、琉球の感覚で構築されたデザインだ。紅型は過去の型紙を手本として柄や技術を継承していくため、大切に保管されていたが17世紀初めの薩摩による琉球侵攻で多くの型紙が失われた。しかし、その後も紅型は衰退することなく現代の紅型の様式を確立させた。


「琉球紅型」


これは実際の琉装に入っている紅型の文様である。黄色の生地に松や梅などのおめでたい柄が中心に琉球の動植物たちがはっきりとした色合いで描かれている。

紅型が施される琉球舞踊の伝統衣装「琉装(ウチナースガイ)」は中国大陸の「韓服」や日本の「着物」の影響を受けながら琉球王国時代に発展したものである。祝いの席などで正装として着用されるが、18世紀に琉球国王によって「衣服定」が出されると権力の象徴として王・士族の女性など一部の特権階級の人々だけが着用し、一般の人が着用するものでは無くなった。さらに、階級によって身に着けられる色にも区分があり黄色が最上位で水色やピンクなどの色もある。また、袖口が大きく開いている作りになっているため風通しが良く南国琉球の気候に合わせた衣装になっている。


3.My Experience(経験)

 私は四歳から現在まで琉球舞踊を続けている。幼少期から何度も舞台に立ち、踊ってきた。琉球舞踊には曲ごとに変わる世界観を表現した色とりどりで様々なデザインの衣装がある。特に古典舞踊では、琉球の雰囲気を感じ取れる着物があり、美しい歴史をまとうことができる。衣装を実際に着用してみると、紅型は重厚感のある生地に細かく文様が入っておりとても目を引く。気持ちが引き締まり自然と背筋が伸びるような感覚になる。肌触りなども独特でぜひ機会があれば手に触れて感じてほしい。


琉球古典舞踊「四つ竹」

伊是名の会第34回定期公演∼琉美創舞∼(2024年)


 今後、さらに琉球舞踊の衣装について踊り手の視点から調査し執筆していこうと考えている。歴史を知ることは今あるものの意味を知ることになるので、ぜひ多くの人に読んでいただきたい。

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