私がカンボジアでみた景色
Garbage Mountains Reflecting Waste Problems
~The Scenery I Saw in Cambodia~
BY MIYU
Background(生い立ち)
私は川崎で育ち、都内の商学系の学部に通う大学3年生である。本誌では大学2年生から研究している新興国・カンボジアが現在抱える廃棄物問題について、自身の経験をもとに記述したい。私は大学1年生で東南アジア・タイに留学し人々の暖かさに魅了され、新興国の高度経済成長のスピードの速さに驚きビジネスの可能性を感じた。そこで東南アジアの人々と労働経験を積むべく単身カンボジアへ渡った。カンボジアには就業経験を積むために渡ったものの、カンボジアでの生活で見た景色は私にとって新興国が抱える深刻な問題について考えるきっかけになったのである。
アンコールワット, 2023年9月13日
First time in Cambodia (はじめてのカンボジア)
カンボジアで見た景色はよりすさまじいものであった。首都プノンペンには未だ開発地区が多く、道路整備がされていない場所も多い。日常生活を送るうえでの不便さは承知であったが、それ以上に衝撃を受けたのは教育体制と廃棄物処理法だった。例えば平日の昼間町に出ると、学校に行けず屋台や広場に集まり楽しそうに遊ぶ10代の若者の姿。夕方になると、膝を付きお恵みを求める3歳から7歳ほどの子供たち。何より印象深いのは、細身で貧相な衣服をまとい裸足で歩く3歳前後の子供が町にたくさんいることだった。私はとても胸が傷んだ。また缶や瓶、プラスチックから紙まで分別せずに全て同じゴミ袋に詰め、捨てることにもとても驚いた。後に調べていくと、カンボジアには教育機関がまだ整備しきれていないことで、子供に掃除の大切さなどの教育がいきわたっていないことが分かった。また焼却所の設置も追いついていないことで、分別するという習慣がまだ根付いていない。そのため田舎にはごみ山も残っている。そこで私はごみ山を生で見て実態を探るべく、2度目のカンボジアへ渡った。
カンボジアの子供たち(2023年9月10日)
Second time in Cambodia(2度目のカンボジア)
これは実際にカンボジアのシェムリアップ地域に残るごみ山だ。私が実際に訪問したごみ山はリサイクルし終えたもので、匂いはあまりしなかった。ごみ山は日々拡大し、ごみ山で生計を立てているカンボジア人も多い。ではなぜごみ山で暮らす人が多いのだろうか。理由は、田舎には安定した職業がないからだ。彼らは週に一度運ばれてくるゴミからリサイクルできるものを探し、それらを販売することで収入を得ている。カンボジアには雨季と乾季があり、乾季の半年間は雨が降らず、毎日36度以上の気候が11月上旬から5月中旬まで続く。そのため農業は天候に左右され、安定的な収入を見込めない。だからこそごみ山の存在は田舎に暮らすカンボジア人にとって、毎週安定した収入を見込める場なのだ。都市部に出稼ぎに出るべきではという声もあるだろう。しかし農業の収入を月額で換算すると60ドル程度なのにかかわらず、ごみ山の収入は100-120ドルで約2倍になる。また出稼ぎにでて市内で働く場合で考えると平均月収が120ドル程度なので、田舎とごみ山での働きはほぼ同じ収入になる。しかしごみ山での仕事は、常に健康被害と隣り合わせでその代償は高い。
そしてごみ山には、衣服がたくさん捨てられていた。その多くは、カンボジアの市内外にあるナイトマーケットやファストファッション店で、安く手に入れられすぐに捨てられてしまった衣服である考えられる。現地人に聞くと、衣服は質の下がっているものはリユースやリサイクルされずごみ山に残り続けるという。こうしたファストファッションから発生するごみ山の廃棄物問題は、カンボジアだけでなく新興国と呼ばれる東南アジアのマレーシアやタイ、南アメリカのチリなど数々の国が抱えている。そして日本はファストファッションなどのプラスチックゴミをそういった国に送っている。そのため私たちは、廃棄物問題についてより強い関心を持つべきである。
シェムリアップ地域のゴミ山(2024年3月15日)
シェムリアップ市内のマーケット(2024年3月16日)
【参考資料】
ゴミとして捨てられた服の行方が気になる!国内の廃棄量や資源活用の方法も紹介
https://komehyo.jp/komeru/637 (最終閲覧日2024年10月17日)